週刊雑話第172号 「データベース・民族な映画」その1 (平成15年9月20日)

アフリカ系
■ザ・ダイバー
2000年アメリカ/監督 ジョージ・ティルマン・ジュニア/主演 キューバ・グッディング・ジュニア
■人種差別をからませた映画でよくあるパターンは、「白人のえげつない差別・嫌がらせ」→「それにめげずに才能・実力で頑張る被差別者」→「白人の命を助ける被差別者」→「徐々に被差別者を認める周囲の白人」・・・・・。その典型みたいなスポ根的映画であるが、最新の重い潜水服を着て歩く義足の主人公が、養成所で自分を追い出そうとしていた鬼教官(ロバート・デ・ニーロ)に向かって必死に歩く最後のシーンは、パターン化された話の筋に違和感を持っている自分も涙してしまった。子供がからんでくると涙もろくなっている。(2003.09.20)
■タイタンズを忘れない  2000年アメリカ/監督 ボアズ・イェーキン/主演 デンゼル・ワシントン
■前任校の映画鑑賞で教師や生徒から好評だった作品。日頃学校を困らせている生徒らも、タイタンズが勝利するシーンでは拍手を送っていた。監督は伝統的で閉鎖的なニューヨークのユダヤ教社会を描いた『しあわせ色のルビー』のボアズ・イェーキン。自身もユダヤ系と思われる。(2003.09.20)
□ザ・ハリケーン  1999年アメリカ/監督 ノーマン・ジェイソン/主演 デンゼル・ワシントン
□アミスタッド  1998年アメリカ/監督 スティーヴン・スピルバーグ/主演 モーガン・フリーマン
□ソウル・フード
1997年アメリカ/監督 ジョージ・ティルマン・ジュニア/主演 ヴァネッサ・エル・ウィリアムス
□チェンバー 凍った絆  1996年アメリカ/監督 ジェームズ・フォーリー/主演 クリス・オドネル
□ゴースト・オブ・ミシシッピー  1996年/監督 ロブ・ライナー/主演 アレック・ボールドウィン
■評決のとき  1996年アメリカ/監督 ジョエル・シューマカー/主演 マシュー・マコノヒー
■えげつない黒人差別が当然の時代に、主人公(マシュー・マコノヒー)のように黒人を擁護する立場になることの困難さを改めて感じた。白人至上主義者の団体「KKK」が登場するが、団員の面々はWASPであるが貧困で昼間から酒を飲んで現状に文句たらたらの層。『ミシシッピー・バーニング』など他の映画でもたいてい同じように描かれている。(2003.09.20)
□ロング・ウォーク・ホーム  1993年米/監督 リチャード・ピアース/主演 ウーピー・ゴールドバーグ
□マルコムX  1992年アメリカ/監督 スパイク・リー/主演 デンゼル・ワシントン
□グローリー  1989年アメリカ/監督 エドワード・ズウィック/主演 マシュー・ブロデリック
□ドゥ・ザ・ライト・シング  1989年アメリカ/監督 スパイク・リー/主演 ダニー・アイエロ
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□ハーレム・ナイト  1989年アメリカ/監督 エディ・マーフィ/主演 エディ・マーフィ
□ミシシッピー・バーニング  1988年アメリカ/監督 アラン・パーカー/主演 ジーン・ハックマン
□背信の日々  1988年アメリカ/監督 コスタ・ガブラス/主演 デブラ・ウィンガー
□カラーパープル  1985年アメリカ/監督 スティーブン・スピルバーグ/主演ウーピー・ゴールドバーグ
□ラグタイム  1981年アメリカ/監督 ミロシュ・フォアマン/主演 ジェームズ・キャグニー
□マンディンゴ  1975年アメリカ/監督 リチャード・フライシャー/主演 ジェームズ・メイソン
□コンラック先生  1974年アメリカ/監督 マーティン・リット/主演 ジョン・ヴォイド
□サウンダー  1972年アメリカ/監督 マーティン・リット/主演 シシリー・タイソン
□ボクサー  1970年アメリカ/監督 マーティン・リット/主演 ジェームズ・アール・ジョーンズ
■夜の大捜査線  1966年アメリカ/監督 ノーマン・ジュイソン主演 シドニー・ポワチエ
■舞台はアメリカ南部・ミシシッピーの田舎町スパータ。「南部」と聞いただけで人種差別がまだまだ残っている保守的なところというイメージ。案の定、北部フィラデルフィア警察の優秀な黒人捜査官であるバージル・ティッブス(シドニー・ポワチエ)に頭を下げることのできない地元署長のビル・ギレスピー(ロッド・スタイガー)や、「こいつには売らないぜ」とバージルに販売拒否した食堂の兄ちゃんとか、その他たくさんの人種差別シーンがある。
■人種差別関連のシーンで印象的だったのが2つ。ポワチエが捜査用に地元の黒人労働者から借りたオンボロ車で運転しているとき、後ろから赤い車に煽られてオカマされまくる場面。赤い車の前面にある赤地に青の「X」がデザインされたプレートがアップされる。これこそ「KKK(クー・クラックス・クラン)」の旗で、南北戦争で破れた南部連合の旗をシンボルとして重視している。『夜の大捜査線』が上映された2年前の1964年に公民権法が制定されると、「KKK」のが会員は急増。65年には推定で4万人に達したという。南部の映画館でこの作品がどういう扱いを受けていたのか興味深い。もう一つはスタイガーが運転するパトカーでポワチエが町の有力者(容疑者のひとり)を訪ねるシーン。有力者の邸宅に到着するまでに広大な綿畑が両側にある道を車が走る。そこで働いているのはすべて黒人で、さすがに素足と足かせとムチはないが奴隷時代とたいして変わらない風景があった。スタイガーが「君には縁がないな」とポワチエに皮肉る。今では表現がタブーとなっている「ちび黒サンボ」的な人形が大邸宅の入口にあり、黒人の執事が二人を出迎えた。
■名プロデューサーのクインシー・ジョーンズが音楽を担当。主題歌「IN THE HEAT OF THE NIGHT」をレイ・チャールズが歌うなど、「ブルース?」「R&B?」「ジャズ?」(この曲がどの範疇に入るのか分からないが)の雰囲気に浸りたい人には必見の映画だ。
■驚くべきことに、地元署長役のロッド・スタイガーが『夜の大捜査線』で1967年度アカデミー主演男優賞を受賞している。それ以前に『波止場』(1954年)で助演男優賞、『質屋』(1965年)では主演男優賞にノミネートされているからいずれ受賞してもおかしくはないが、なんで「主演男優賞やねん」と誰でも疑問に思うだろう。この映画の主演は「明らかに」というには無理があるかもしれないがどう考えても「シドニー・ポワチエ」である。「なんでやねん」と思いながらいろいろ調べてみたら、その4年前にポワチエは『野のユリ』で1963年度主演男優賞をもらっており(2001年度にデンゼル・ワシントンが受賞するまで黒人で唯一のアカデミー主演男優賞だった)、1967年度の主演女優賞は『招かれざる客』のキャサリン・ヘップバーンが受賞していることから(同作にポワチエが出演している)、いろいろバランスを考えて「まあこの辺でええんやないか」と八方美人的な結果に落ち着いたのではないかと勝手に想像した。スタイガーは2002年7月、肺炎と腎不全のためロサンゼルスの病院で死去。77歳。(2003.10.01)
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