週刊雑話第172号 「データベース・民族な映画」その1 (平成15年9月20日)

イタリア系
□サマー・オブ・サム  1999年アメリカ/監督 スパイク・リー/主演 ジョン・レグイザモ
■ブロンクス物語  1994年アメリカ/監督 ロバート・デ・ニーロ/主演 ロバート・デ・ニーロ
■ロバート・デ・ニーロ演じる父親が運転するバスに息子も乗車している。終点に着いて車内を清掃する父。暇な息子が「何か問題を出してよ」とせがむ。父「最近の三冠王は?」息子「マントル。打率は・・・・」「彼は天才だ」父「ディマジオには負ける」息子「ヤンキースを56連勝させた人だね」・・・・・。ほほえましい親子の会話の中にイタリア系ならではの民族性をみた。
■成長した息子は実の父親を慕いつつ、近所で羽振りをきかすギャングのボスからも実社会で生き抜くためのノウハウを教えてもらう。「よい女」かどうかを見分ける方法が一番印象深い。クルマの助手席に女を座らせドアを閉める。男が運転席に向かう間に運転席のドアのロックを解除するのが「よい女」。なるほど。息子は同じ高校に通う黒人の女生徒に一目惚れ。デートに誘ってボスから教えてもらったことを試すと、ラッキーなことにドアのロックを解除してくれた。思わず「キャホー」と飛び上がってしまった。映画後半ではイタリア系と黒人の確執がエスカレートして、ついには息子の友人らが焼け死んでしまう。嫌々ながらも黒人街を襲撃しようと車内にいた息子を「いったらあかん」と止めてくれたのはボスだった。(2003.09.20)
■モブスターズ  1991年アメリカ/監督 マイケル・カーベルニコフ/主演 クリスチャン・スレーター  
■冒頭シーン。1917年ニューヨーク。リトル・イタリーのモット・ストリート。多くの人々にまじって馬車や車が行き交う雑然とした風景。貧しいながらも活気あふれる移民の町。イタリア系のチャールズ・ルチアーノ(クリスチャン・スレーター)はユダヤ人のマイヤー・ランスキー(パトリック・デンプシー)と知り合う。「ここはユダヤ人街だ」「いや、ここはイタリア人街だ。金を払えば守ってやるぜ」「守る?誰から?」「アイルランド人からさ。アイルランド野郎は図々しい」・・・・・。WASPから白眼視された「カトリック&ユダヤ=2級白人」らの飢えた目が輝いている。貧困からくるハングリー精神とアメリカンドリームがエネルギーとなって弱肉強食の暗黒街でのし上がっていくルチアーノたち。最後のシーンではあのカポネでさえ彼の軍門に下るのだ。
■マフィアの大ボス、ドン・ファレンザーノ(マイケル・ガンボン)は同じイタリア系のルチアーノにささやく。「仲間のマイヤーとシーゲルを消せ。親しいことは知っているが彼らはユダヤ人だ。ひとついさかいがあれば裏切る。俺たちとは違う人種なんだよ。俺たちには聖体拝領の儀式がある。だが奴らには罪の観念がない。キリストを裏切ったように平気で人を裏切る・・・・・」。当時のカトリックからみたユダヤ人イメージの典型的な例か。(2003.09.23)
□グッドフェローズ  1990年アメリカ/監督 マーティン・スコセッシ/主演 ロバート・デ・ニーロ
■月の輝く夜に  1987年アメリカ/監督 ノーマン・ジュイソン/主演 シェール
■ニコラス・ケイジに誘われてオペラ鑑賞する前のシェールの変身ぶりには驚いた。彼女自身はアルメニア、トルコ、フランス、チェロキー・インディアンの血が混じっており、母親役のオリンピア・デュカキス(この映画でアカデミー助演女優賞)はギリシャ系。弟のマイケル・デュカキスは民主党候補として大統領選に出馬。ニコラス・ケイジなど他の主要キャストのほとんどがイタリア系。
■家族や友人、ニコラス・ケイジの兄弟が食卓に集まって乾杯する最後シーン。「Alla famiglia! アッラ ファミッリァ! 家族に乾杯!」と親父がイタリア語で音頭をとる。壁にかかった老夫婦の写真がアップされエンド。イタリアから移民してきた1世の夫婦か。(2003.09.20)
□グッドモーニング・バビロン!
1987年/監督 ヴィンセント・スパーノ/主演 パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ
□プリンス・オブ・シティ  1981年アメリカ/監督 シドニー・ルメット/主演 トリート・ウィリアムズ
□レイジング・ブル  1980年アメリカ/監督 マーティン・スコセッシ/主演 ロバート・デ・ニーロ  
■サタデー・ナイト・フィーバー  1977年アメリカ/監督 ジョン・バダム/主演 ジョン・トラヴォルタ
■「イタリア系」という意識などまったくなしで鑑賞した大学時代。今一度みなおす必要がある。
□ゴッドファーザー  1972年アメリカ/監督 フランシス・フォード・コッポラ/主演 マーロン・ブランド
□死刑台のメロディ  1970年イタリア/監督 ジュリアーノ・モンタルド/主演 ジャン・マリア・ヴォロンテ
□ある愛の詩  1970年/監督  アーサー・ヒラー/主演 アリ・マックグロー
■まったく異なった環境に生まれた、大富豪の息子・オリバー(ライアン・オニール)とイタリア移民の菓子屋の娘・ジェニー(アリ・マックグロー)の愛の物語。映画の中では「イタリア」の「イ」の字もない(字幕でわざわざ取り上げていないだけかも)。二人が初めてジェニーの部屋で一夜を共にしたときに、オリバーが部屋にある十字架を見て「カトリックだろ?」と問いかける。「無宗教」と答えたジェニーだが、母の形見に十字架を大切に持っている。オリバーの親父がジェニーに「父上のご職業は?」と質問して「パイ作りを」と答えたとき、オリバーの両親の顔が一瞬凍り付いたようになる。結婚に反対する親父にオリバーが「貧しいカトリックだから気に入らないんですか」とくってかかる。親父と不仲で絶縁状態にあるオリバーを、ジェニーの親父が「親の愛は尊い。得難いものなんだ」と説教する、などなど。とにかくジェニーの家がカトリックということは明白だが、それが即「イタリア」になるのか。ジェニーの親父フィルを演じるジョン・マーリーはなるほどイタリア顔であるが。「イタリア移民の菓子屋の娘」と「goo 映画」に書いてあるが、今一度じっくり映画を鑑賞する必要がある。
■映画が終わって何気なくエンドタイトルを見ていると、オリバーのルームメイト役に以外な名前を発見。「Tommy Lee Jones」。なんといっても『逃亡者』で、リチャード・キンブル博士(ハリソン・フォード)を追いかけて追いかけまくったジェラード連邦保安官補役が一番記憶に残っている。最近では『追跡者』でふたたび追いかけまくっているようだ。(2003.09.29)
□黒い蘭  1958年アメリカ/監督 マーティン・リット/主演 ソフィア・ローレン
□野性の息吹き  1957年アメリカ/監督 ジョージ・キューカー/主演 アンナ・マニャーニ
■十二人の怒れる男  1957年アメリカ/監督 シドニー・ルメット/主演 ヘンリー・フォンダ
■映画の中では「イタリア」の「イ」の字もないが、冒頭で一瞬登場するスラム街出身の容疑者は明らかに「イタリア系」(もしくはギリシャ系)。12人の陪審員の中に、「自分はスラム街で育った」「飛び出しナイフはこう使うんや」と説明する男もイタリア顔やった。ヘンリー・フォンダの説明により途中から「無罪」に変更した「時計職人」が、「今晩あるヤンキースの試合に間に合わないやないか」と文句たらたらの「セールスマン」に、言葉遣いを指摘する。憤慨した「セールスマン」が、「なんで移民に言葉を教えられなあかんねん」と反撃。「時計職人」は悔しさのあまり唇をかみしめたが引き下がる。偏見に満ちあふれた老人、すぐに興奮する会社社長、常に冷静な眼鏡の男、軽薄でおしゃべりな広告業界の男などなど、個性的な12人が繰り広げる「有罪か無罪か」の議論。久しぶりに硬派な映画を観た。(2003.09.23)
□バラの刺青  1955年アメリカ/監督 ダニエル・マン/主演 アンナ・マニャーニ
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